こんにちは、Tomです。
今日はビジネスについてのお話です。「ラグジュアリービジネス」です。
ラグジュアリービジネスとは、高級品や奢侈品を販売するビジネスのことです。
しかし、単に高価な商品を売るだけではなく、ブランド価値やストーリー、クリエイティビティなどを最大化することで、高い収益と顧客満足を生み出すビジネスモデルです。
ラグジュアリービジネスは、世界的に急成長している産業であり、日本でも多くの消費者が憧れや夢を求めています。
しかし、日本でラグジュアリービジネスを展開するには、欧米とは異なる市場環境や文化に対応する必要があります。
そこで、この記事では、ラグジュアリービジネスの基本的な概念と歴史を紹介した後、世界のトップブランドが実践するラグジュアリー戦略と事例を分析していきます。また、日本でラグジュアリービジネスを成功させるためのポイントもお伝えします。
この記事の目次は以下の通りです。
- ラグジュアリーとは何か?~言葉と歴史から考える
- ラグジュアリー戦略とは何か?~経営学者が解説する
- ラグジュアリー事例紹介~世界のトップブランドの秘密
- 日本でラグジュアリービジネスを展開するためには?~市場分析と戦略立案
ラグジュアリーとは何か?~言葉と歴史から考える
まずは、ラグジュアリーという言葉の意味や由来について見ていきましょう。ラグジュアリーは英語で「Luxury」と書きますが、その語源には3つの含意があります。
- 中世のluxurieすなわちlust。色欲や淫乱という意味です。
- ラテン語のluxus。植物が繁茂しすぎるという意味です。
- 近代以降のフランス語のluxe。光の単位であるルクスに由来し、光り輝くものという意味です。
これらの3つの要素が西洋文化におけるラグジュアリーのエッセンスとなっています。つまり、ラグジュアリーとは、
- 誘惑的であること
- 豊かさを表すこと
- 光り輝くこと
を意味しているのです。
しかし、これらの基準は時代や社会によって変化してきました。特に19世紀以降、産業革命や資本主義の発展によって、ラグジュアリーの定義や表現が多様化しました。
金銀宝飾品や豪華なドレスなどの単純に光り輝くものだけではなく、デザインや文化、職人技巧や歴史遺産などの知的な要素が「豊かさ」「誘惑力」の基準として重視されるようになりました。
また、新興のブルジョワ層がラグジュアリーを求めるようになり、そのニーズに応えるために、多くのブランドが誕生しました。その中でも、特にフランスやイタリアのブランドは、ラグジュアリーの代名詞として世界的な名声を得ることになります。
ラグジュアリー戦略とは何か?~経営学者が解説する
では、ラグジュアリービジネスとはどのようなビジネスモデルなのでしょうか。経営学者の中川功一氏は、以下のように解説しています。
ラグジュアリー戦略とは、一定の再現性が保証された経営「理論」となりつつあるのです。
ラグジュアリー戦略のポイントは、以下の7つです。
- 歴史的資産からストーリーを構築する
- 他社との比較をしない、させない
- 需要増に積極対応しない
- 顧客に媚びない
- 価格や流通で、買うことを難しくする
- ターゲット以外に公告する
- 本社や工場を移転しない
これらの戦略は、ラグジュアリーとは「他者との比較可能なプレミアムとは異なる」という考え方に基づいています。プレミアムは、機能や性能で説明のつく、他との比較の上での最上位です。しかし、ラグジュアリーは、比較の外にある、プライスレスな存在です。
そのため、ラグジュアリーブランドは、自分たちの商品やサービスを独自化し、希少性や独占性を高めることで、顧客に強い憧れや夢を与えます。また、顧客に対しても選別し、高い忠誠度や満足度を得ることで、高い収益率を実現します。
ラグジュアリー事例紹介~世界のトップブランドの秘密
ここでは、世界的に有名なラグジュアリーブランドの事例を紹介しましょう。
それぞれがどのような戦略や手法でラグジュアリーを創造し続けているかを見てみます。
ルイ・ヴィトン
ルイ・ヴィトンは、1854年にパリで創業したトランクメーカーです。
現在はLVMH(ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー)グループの中核ブランドとして、世界最大級の売上高を誇ります。
ルイ・ヴィトンがラグジュアリー戦略を成功させた要因は以下の通りです。
- 歴史的資産からストーリーを構築する:ルイ・ヴィトンは創業者自身が旅行用品職人だったことから、「旅」をテーマにしたストーリーを展開しています。
- 他社との比較をしない、させない:ルイ・ヴィトンは自分たちの製品やサービスを他のブランドと比較することを避けています。例えば、広告や公式サイトでは、自分たちの歴史や伝統、職人技やクリエイティビティを強調していますが、他のブランドの名前や製品を出すことはありません。また、自分たちの製品やサービスには独自のデザインやロゴ、モノグラムなどを用いて、他との差別化を図っています。
- 需要増に積極対応しない:ルイ・ヴィトンは需要が高まっても生産量を増やすことはしません。むしろ、敢えて品薄状態を作り出して、顧客に待望感や獲得感を与えます。また、限定版やコラボレーションなどで新鮮さや話題性を提供します。
- 顧客に媚びない:ルイ・ヴィトンは顧客のニーズや要望に応えることよりも、自分たちのビジョンや価値観を貫くことを重視しています。例えば、顧客が安価な製品やカジュアルなスタイルを求めても、それに応じることはありません。また、顧客が自分たちの製品やサービスに対して不満や苦情を言っても、それに対応することは少なく、むしろ無視することもあります。
- 価格や流通で、買うことを難しくする:ルイ・ヴィトンは自分たちの製品やサービスを高価格で販売しています。これは単に利益率を高めるためだけではなく、顧客に対して「買える人」と「買えない人」の区別をつけることで、エリート感やステータス感を与えるためです。また、自分たちの製品やサービスは直営店や公式サイトでしか購入できず、他の小売店やオンラインショップでは販売されていません。これは流通経路をコントロールすることで、品質やイメージの管理を行うためです。
- ターゲット以外に公告する:ルイ・ヴィトンは自分たちの製品やサービスをターゲット層だけでなく、それ以外の層にも広く知らせることで、ブランド認知度や憧れ度を高めています。例えば、ファッションショーでは有名なモデルやセレブリティを起用したり、アート展示会では世界的な芸術家とコラボレーションしたりしています。また、SNSでは多くのフォロワーを獲得しており、インフルエンサーや口コミによって拡散されています。
- 本社や工場を移転しない:ルイ・ヴィトンは創業以来、本社や工場をパリから移転することはありません。これはパリという都市が持つ歴史や文化、ファッションやアートの中心地というイメージを自分たちのブランドに結びつけることで、付加価値を高めるためです。また、工場では伝統的な手作業や技術を継承し、品質やオリジナリティを保っています。
以上が、ルイ・ヴィトンのラグジュアリー事例の紹介でした。
他にも、シャネルやエルメス、グッチやプラダなどのブランドもラグジュアリー戦略を実践していますが、それぞれに特徴や違いがあります。
興味のある方は、ぜひ調べてみてください。
日本でラグジュアリービジネスを展開するためには?~市場分析と戦略立案
最後に、日本でラグジュアリービジネスを展開するためにはどのようなことに注意すべきかをお伝えします。
日本は世界でも有数のラグジュアリー消費国であり、多くのブランドが進出していますが、その一方で、日本独自の市場環境や文化に対応する必要があります。
日本のラグジュアリー市場の特徴は以下の通りです。
- 高齢化社会:日本は高齢化社会が進んでおり、ラグジュアリー消費者の年齢層も高くなっています。これは、若い世代がラグジュアリーに対する関心や購買力が低いことや、高齢者がラグジュアリーに対する知識や経験が豊富であることを意味します。したがって、日本でラグジュアリービジネスを展開するには、高齢者層に対するマーケティングやサービスを強化することが重要です。
- コロナ禍:日本では新型コロナウイルスの感染拡大によって、ラグジュアリー消費にも大きな影響が出ています。特に、外出自粛や海外旅行制限などによって、ラグジュアリー店舗への来店者数やインバウンド消費者数が減少しています。これは、日本でラグジュアリービジネスを展開するには、オンラインチャネルやデジタルマーケティングを活用することが必要であることを意味します。
- サブスク化:日本ではサブスクリプション(定額制)サービスが普及しており、ラグジュアリー消費にも影響を与えています。特に、若い世代は所有よりも利用や体験を重視しており、ラグジュアリー製品を購入するよりもレンタルやシェアすることを選択しています。これは、日本でラグジュアリービジネスを展開するには、新しいビジネスモデルや価値提案を考えることが必要であることを意味します。
- エシカル消費:日本ではエシカル消費(倫理的な消費)が注目されており、ラグジュアリー消費にも影響を与えています。特に、若い世代は環境や社会に配慮した製品やサービスを求めており、ラグジュアリー製品の素材や製造過程、ブランドの姿勢などに関心を持っています。これは、日本でラグジュアリービジネスを展開するには、サステナビリティやコーポレートソーシャルレスポンシビリティ(CSR)などを強化することが必要であることを意味します。
以上が、日本でラグジュアリービジネスを展開するためのポイントでした。日本はラグジュアリー市場として非常に魅力的ですが、その一方で非常に競争的でもあります。
そのため、日本で成功するためには、市場分析や戦略立案だけでなく、実行力や柔軟性も必要です。
ラグジュアリービジネスに関心のある方の参考になれば幸いです。